最近、思いがけず何度も葛飾北斎という名前に出会う出来事が続き、まるで導かれるように興味が深まっていきました。
映画や美術館、オーディブルなど、様々な場面で北斎の名前を耳にし、その人生を垣間見ているうちに、自然と葛飾北斎についてもっと知りたい気持ちが湧き上がってきました。
そして、調べたり、美術館に行ったりする時間がとても楽しいのです!
「教養が身につく」というよりも、とにかく興味が湧いてきて、感心して、感動する・・・という感じです。
この記事では、私が体験したわくわくシンクロニシティとともに、北斎の魅力やすみだ北斎館で購入したグッズも紹介します。
映画『八犬伝』と滝沢馬琴、そして葛飾北斎
きっかけは朝ドラ『らんまん』の寿恵子さん
まず、葛飾北斎との出会いが印象的だったのが、映画『八犬伝』を観に行ったことでした。
この映画は、滝沢馬琴の生涯と彼が生み出した大作『南総里見八犬伝』に焦点を当てたもので、北斎が馬琴と長年にわたる友情を築きながら共に創作に励む姿が描かれています。
実は、少し前に放送していた連続テレビ小説『らんまん』で、ヒロインの寿恵子さんが夢中になって読んでいたのが、馬琴の『南総里見八犬伝』でした。
この作品は江戸時代に書かれた全98巻の長編小説であり、現代でも映画やドラマ、漫画化されるなど、200年という時を超えて愛され続けています。
寿恵子さんが作中で馬琴を称賛するシーンの影響もあって、私の中で『八犬伝』と馬琴に対する興味が強まっていきました。
↓ここに同じ方がいらっしゃいます!
里見八犬伝の強火オタクの寿恵子さん(朝ドラらんまんヒロイン)が八犬伝について熱弁していたのが気になって見てきた。面白かったよ寿恵子さん!!馬琴先生パートもすこぶる良かった。 pic.twitter.com/AwP2rzz31u
— のののワッショイ (@nonoguche) November 9, 2024
映画『八犬伝』で深まった馬琴と北斎への興味
映画では、馬琴が精力的に創作していく一方で、息子が亡くなるという悲劇や、視力を失っていく試練が描かれています。
もう、創作を諦めようと思ったところで、亡き息子の妻であるお路さんが、口述筆記を手伝うと申し出てくれるのです!
お路さんは紀州藩家老三浦長門守の医師である土岐村元立の次女です。
しかし、ひらがなだけしか知らなかったので、馬琴に漢字を教わりながら筆記するという大仕事となりました。
そしてとうとう『南総里見八犬伝』を完成させました!
個人的には、お路さんのことをもっと描いてほしいと思った場面でした。
失明しながらも長年かけて『南総里見八犬伝』を完成させる姿と、それを支える北斎の反応が面白いのです。
北斎は、馬琴の作品に挿絵を描く役割を担っており、二人はまるでお互いの創作魂を支え合うような友人関係にありました。
北斎はヨボヨボのお爺さんになってもなお、「富士山を見に行ってくる」と旅に出るほど創作意欲にあふれており、馬琴も驚愕するほどのエネルギーを持っていました。
まさに芸術家としての凄みを感じさせます。
オーディブルで聞いた『たゆたえども沈まず』から広がる北斎への興味
私はAmazonオーディブルの会員で、いつも何かの本を耳読書しています。
映画を見に行く前から聴き始めた作品が『たゆたえども沈まず』でした。
Amazonオーディブルとは・・・
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『たゆたえども沈まず』の概要
『たゆたえども沈まず』は、ゴッホの知られざる一面と、彼を取り巻く人物との関係を描いた原田マハのアート小説です。
舞台は1886年、パリの美術界が栄華を極めていた時代。
当時、売れない画家だったフィンセント・ファン・ゴッホが、弟テオの家に身を寄せていたころの話が展開します。
物語の中心には、ゴッホの才能を信じて支える弟テオ、そして流暢なフランス語を操り、浮世絵をパリで広めた商才あふれる日本人画商・林忠正が登場します。
忠正がゴッホ兄弟と出会ったことで、彼らの運命が動き始め、ゴッホの作品やパリの美術界に新たな変化が生まれます。
ゴッホの天才性と、彼に影響を与えたきっかけになった日本人がいることに興味を持って、この小説を聴き始めました。
↓こんなイベントがあったことに今更気づいてしまった・・・2024年10月29日終了
行きたくて行きたくて❤︎
ゴッホと北斎
モネと広重
全部が推しの世界。印象派と浮世絵の世界に入り込む
素敵な時間。北斎好きな息子も大満足でした。 pic.twitter.com/kyTU7RpoOp
— tryun (@tryun_tryun) August 18, 2024
ゴッホと浮世絵の出会いがもたらしたもの
この小説は史実をもとにしたフィクションで、ゴッホが浮世絵に出会ったのは、1880年代のパリでのことです。
当時、パリの美術界ではジャポニスムと呼ばれる日本文化への関心が高まりつつありました。
その影響を広めた中心人物が、実在した日本人画商の林忠正です。
原田マハさんもこの作品の執筆にあたって、林の存在が大きな動機になったと語っています。
林忠正は、明治期にパリ万博の後、日本美術を広めるためにフランスに渡り、「日本で最初のグローバルビジネスマン」とも言える存在でした。
彼は、日本が開国間もない小さな島国と見られていた時代に、独自の視点と商才で浮世絵をフランスへ広めていきます。
まさに“侍ジャパン”とも言えるその活動により、日本の浮世絵がフランスの画家たちに多大な影響を与え、やがて印象派をはじめとする新しい美術潮流を生み出すきっかけを作りました。
私は印象派の絵画が大好きなのですが、当時は全く認められなかったそうです。
だから印象派の作家たちは、なかなか認められずに貧しい生活を送っていたのだとか。
その代表と言えるのがゴッホですよね。
印象派の画家たちは革新的なスタイルで光や色彩を捉えようとしましたが、当時のアカデミックな美術界ではその手法が理解されず、評価も低かったのです。
🌜⭐️『The Starry Night』1889
星月夜 🇳🇱🖌️『Gogh』ゴッホ🌊🗻『The Great Wave off Kanagawa』1831
神奈川沖浪裏(富嶽三十六景) 🇯🇵🖌️『Hokusai』北斎 pic.twitter.com/uKCGvNkAo2— 🖌 ALLOEKAKI (@alloekaki) November 20, 2024
そんな中でゴッホが出会ったのが、日本の浮世絵です。
その斬新な構図や大胆な色使い、日常の一瞬を切り取るような表現は、彼にとって新しい視点を与えるものでした。
林忠正がパリに浮世絵を広めていたことが、ゴッホにこの出会いをもたらし、彼の画風にも大きな影響を与えたのです。
もし浮世絵との出会いがなければ、私たちが知っているゴッホの作品もまったく異なるものになっていたかもしれないと知り、私は本当に驚いてしまいました。
私が知らないだけで、アートは国境や文化を超えて互いに影響を与え合っていた・・・本当に面白いと感じました!
日本の浮世絵が西洋の芸術家たちに与えたインスピレーションは計り知れず、浮世絵を模写していたというゴッホがその一つの象徴と言えるでしょう。
彼の作品に見られる平面的な構図や大胆な色彩は、まさに浮世絵からの影響・・・そう言われてみれば、浮世絵との共通点を見つけることができますね。
この小説で、林忠正が浮世絵を中心とする日本美術を、パリで売りまくったと知りました。
彼はジャポニスムの流行に大きく貢献したとはいえ、大量の浮世絵を安く仕入れて輸出しました。
そのため、莫大な利益を上げたそうです。
そして「国賊」と呼ばれ批判されたそうです。
現在では、林忠正の再評価され、日本文化の世界的普及に貢献した先駆者として認識されています。
国立西洋美術館の版画素描展示室で開催中の「林忠正 展」を拝見。
1878(明治11)年パリ万国博覧会の通訳として渡仏後、ジャポニスムに沸くパリで日本美術の普及と理解に努めた林忠正。特に、エドモン・ド・ゴンクールなど19C末の著名人達とやり取りした書簡が圧巻だった。
企画リーフレットも素敵。 pic.twitter.com/HfHx69vhhC— 井嶋ナギ (@nagi_ijima) May 12, 2019
すみだ北斎館へ
北斎の世界をじっくり満喫!
映画をきっかけに、葛飾北斎への興味がさらに高まった私は、ぐるっとパスに含まれていたすみだ北斎館を訪れることにしました。
ぐるっとパスとは・・・
- 東京都内の約100の美術館・博物館に無料または割引で入場できる
- 2ヶ月間有効で、複数の施設をゆっくり巡れる
- パス1枚で同じ施設に何度も入場可能(無料施設に限る)
- 季節ごとの特別展や限定イベントも楽しめる
- 手軽にオンラインで購入可能
両国にあるこの美術館は、世界的に有名な浮世絵師・葛飾北斎とその門人の作品を展示する専門美術館です。
2016年に開館した比較的新しい美術館です。
北斎が生まれ、90年の生涯のほとんどを過ごした墨田区に位置しています。
美術館に到着すると、まずその現代的なデザインに驚きました。
そして小さい!
館内に入ると、外国人の観光客の多さにまたもや驚いたのでした!
やはり世界の北斎なんですね。
私が一番感動したのが、「隅田川両岸景色図巻」の複製!
長〜い作品が開いて展示されており、その圧巻のサイズと細部に感動!
「ここが浅草か」「ここが吉原」「この橋は…」と江戸時代の景色を眺めるような楽しさで、まるで北斎と一緒に江戸の風景を巡る旅をしているような気持ちになりました!
【#隅田川お散歩気分 ①-1】#THE北斎 展では約7mの絵巻「隅田川両岸景色図巻」の全貌を前・後期にわけ展示します。数回に渡り #お散歩気分 でご案内いたしま~す🎵
本画像は前期で展示の冒頭の部分。両国橋を挟んで向こうに回向院が見えますので、向こう岸が現在の墨田区、手前が台東区側ですね。 pic.twitter.com/4gbd5YhMIs— すみだ北斎美術館 (@HokusaiMuseum) August 11, 2021
ここでも林忠正のことが紹介されていました。
北斎、ゴッホ、林忠正。
この3人の人生を初めて詳しく知ることができたと思いました。
いや〜、楽しい。
外国人観光客の大人気のミュージアムショップ 北斎グッズをゲット
すみだ北斎美術館のミュージアムショップは、外国人観光客にも大人気!
館内をじっくり楽しんだ後、思い出として北斎グッズを手に入れました。
外国の方は、人にあげるお土産として購入しているようで、沢山買っていてビックリです。
最終的に私が購入したのは、すみだ北斎美術館オリジナルの手ぬぐい「新形小紋帳」から「かけあおひ」柄。
デザインと色が気に入ったので購入しました。
もちろん普段使いする予定です!
まとめ
今回の私の葛飾北斎ブームは、偶然が重なって生まれたシンクロニシティから生まれました。
こういう、自然に興味を持つような流れができていくのが本当に面白いです。
何かを知って、調べると、さらに関連する新しい何かに出会う。
または全く関係のないことに興味が芽生える。
こういう時のワクワクは、他では得難いくらい大きいです!
映画『八犬伝』をきっかけに、馬琴や北斎の人生に触れ、オーディブルで『たゆたえども沈まず』を聴くことで、ゴッホや林忠正との意外なつながりを知り、さらにすみだ北斎美術館で北斎の作品をじっくり楽しむことができました。
こうした体験が、ひとつの大きな流れになって、私を北斎の世界へと引き込んでくれました。
普段は何気なく通り過ぎてしまうような歴史やアートが、こんな形で自分の日常に入り込んでくると、毎日がさらに楽しいものになります。
北斎の作品が江戸から世界へと広がり、そして現代でも多くの人に愛され続けている理由や経緯を、改めて知ることができました。
これからも、興味が湧いたことには素直に飛び込んでみようと思います。
皆さんもぜひ、興味のアンテナを張り巡らせで、自分だけのブームやシンクロニシティを楽しんでみてください。