一口飲めば桜の香りが広がる…。そんな絶品のお茶があったら試してみたいですよね?
しかし、その原材料が「毛虫のフン」だと知ったら、どう思いますか?
今回、驚きと興味が交差する、京都大学の研究者、丸岡さんが開発した『虫秘茶』の世界を、皆さんにご紹介します。
丸岡さんの偶然の発見
マイマイガのフンから桜の香り
京都大学の研究者、丸岡さんは、昆虫と植物の組み合わせによる新しい味や香りの発見を追求していました。
彼の研究の中で、桜の葉を与えて育てたマイマイガのフンから予想もしない驚きの発見がありました。
そのフンには、桜の葉の成分が濃縮され、独特な良い香りを放っていたのです。
お湯を注ぐというシンプルな試み
興味津々で、丸岡さんはそのフンにお湯を注ぐことに。
結果、香りはより強く広がり、紅茶のような風味も感じられました。
驚きの結果に、さらなる研究の域をこえるきっかけとなったのです。
虫秘茶の誕生
この偶然の発見から、伝統的なお茶の範疇を超えた新しい世界が広がりました。
これが『虫秘茶』の誕生の瞬間でした。
丸岡さんの持つ好奇心と実験精神が、新しい飲み物の歴史を刻んだ瞬間でした。
虫秘茶の味と香り 試飲者の声
試飲者からの第一印象
丸岡さんの「虫秘茶」が一般に紹介された際、多くの人々は興味と少しの戸惑いを感じたことでしょう。
しかし、一度口にしてみると、その印象は一変。
多くの試飲者がその独特の香りと味わいに驚きの声を上げました。
試飲者のコメント
「極上の香りがする」
「香りが芳しい」
「濃厚な桜の香りがする」
これらの声は、虫秘茶が一風変わった飲み物だけでなく、質の高いお茶としてのポテンシャルを持っていることを示しています。
虫秘茶来た!飲んだ!!すごい上手いなこれ。 虫のポテンシャルに感激。 pic.twitter.com/bLXg5tRdbW
— Ryosuke Munakata (@MunakataRyosuke) May 3, 2023
毛虫のフンという意外な原材料
多くの人が毛虫のフンから作られるお茶に驚きを隠せません。
しかし、それを超えた時、彼らはこの新しいお茶の豊かな香りと味わいの虜となったのです。
昆虫と植物の絶妙なコラボレーションが生んだ新しい飲み物の世界への扉が、今、広がっているのです。
「虫秘茶」の多様な魅力
丸岡さんの探求心と研究の成果
丸岡さんは、多様な昆虫と植物との組み合わせを研究し、その中で最も魅力的な組み合わせを追求してきました。
彼の研究により、40種の昆虫と20種の植物が試され、多種多様な香りと味の組み合わせが発見されたのです。
魅力的な組み合わせの一例
- サクラ×イラガ
この組み合わせは、上品な桜の香りを特長とし、飲んだ後もその香りが長く続くそうです。 - クリ×オオミズアオ
この組み合わせは、5年寝かせた白茶のような香りや、クルミの香りが特徴で、深みのある味わいを楽しむことができます。
このように、「虫秘茶」は一つの飲み物としてではなく、多くのバリエーションを持つ新しいカテゴリとしての存在を確立しつつあります。
「虫秘茶」の環境へのポジティブな影響
環境への優しさを追求
「虫秘茶」は熱処理が不要という特性を持っていますね。
このことは、エネルギー消費を低減し、環境へのCO2排出を削減する可能性を意味しています。
さらに、伝統的なお茶の生産に必要な土地や資源を節約できる点も、環境保護の観点から見ると大きな利点でしょう。
昆虫と植物の組み合わせの新しい可能性
昆虫や特定の植物は、食品としての利用が主流でないため、これまで大規模な生産活動の対象とはされていませんでした。
しかし、「虫秘茶」の製造により、これらの生物が持つ独特の香りや成分が新しい飲料としての価値を生むことが確認されたのです。
これにより、多様な生態系の中で生息する昆虫や植物を新たな資源として有効活用する道が拓かれました。
まとめ
「虫秘茶」—これまでのお茶の常識を打破する、まったく新しいお茶のカテゴリです。
その驚きの原材料である毛虫のフンと、それによって生み出される桜のような香りや紅茶のような風味。
丸岡さんの研究によって明らかにされた虫と植物の組み合わせの可能性は、これまでの飲料の歴史に新しいページを加えるでしょう。
今後、どんな風味や香りの「虫秘茶」が登場するのか、そして、その環境への貢献や人々の健康への影響はどうなるのか、興味深く注目していきたいと思います。
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