関東にも、スガキヤがあった時代がありました。
それはもうずいぶん昔のことだけれど、私にとっては、家族と過ごした温かい時間がぎゅっと詰まった、かけがえのない思い出です。
昭和の週末、スガキヤと家族のぬくもり
↑忠実屋風のマークを描いてみた
あの頃、家族で出かけた週末の買い物。
行き先は、埼玉にあった「忠実屋」というスーパー。
その1階に入っていたスガキヤが、私にとって特別な場所でした。
買い物がひと段落すると、「じゃあ、そろそろ行こうか」って、スガキヤへ。
ちょっと疲れた足を休めながら、家族そろってカウンターに並ぶ時間が、何より楽しみだったんです。
父も元気で、母もにこにこしていて。
当たり前のように感じていた、家族みんなで過ごす時間。
でも今振り返ると、それがどれほど貴重で、あたたかなものだったかに気づかされます。
公式サイトより引用 2024年のイベントでした
ラーメンは、あの独特な和風とんこつスープ。
クセになるコクのあるスープと、ちゅるんとした麺の組み合わせがたまらなくて。
寒い日なんかは特に、体の中からホッとあたたまる味でした。
そして、食後にはお楽しみのデザート。
私のお気に入りは、緑のゼリーが入ったヨーグルトドリンク。
ぷるんとした食感と、ほんのり甘いさっぱり感がクセになって。
ひとりで飲みきるのがちょっと嬉しくて、最後の一口まで大事に味わっていたのを思い出します。
父はもう30年前に他界しました。
けれど、忠実屋のスガキヤで過ごしたあのひとときは、今でも色あせることなく、私の中で生き続けています。
忠実屋も、スガキヤの関東店舗も、今はもう見かけなくなりました。
でも、あの味と家族の笑顔、そしてあの空気感だけは、ずっと私の心の中に残っているんです。
スガキヤが関東から姿を消した理由

かつてスガキヤは、関東地方にも多くの店舗を展開していました。
最盛期には、関東だけで約80店舗。
スーパーのフードコートや駅ビルなど、日常の中にスガキヤがある光景は、当時の私たちにとってごく当たり前でした。
しかし、1999年3月に関東から完全撤退。
その後、2004年には東京・高田馬場に再出店を果たしたものの、2006年9月30日をもって再び撤退しています。
その背景には、スガキヤが地方を中心に築いてきたビジネスモデルと、首都圏の商環境の相性の悪さがありました。
スガキヤは、商圏人口が4万人未満でも成り立つスタイルで展開しており、地方では成功していた一方で、関東の都市部では採算が取りにくかったのです。
もう一度、関東にスガキヤがあったら
東京駅から136km。イオンタウン富士南にある東京に一番近いスガキヤ。スガキヤ訪問の交通費の最安値はやはり青春18きっぷであろうか。スガキヤ訪問の為に交通費を3000円以上使っているがその価値は十分ある。数十年ぶりの冷やしラーメン。さっぱりしていて懐かしい味。東京に再出店してくれないかな。 pic.twitter.com/mEtYAdOu4r
— 黒かどや (@kadoya1) September 9, 2024
きっと、私と同じような思い出を持っている関東の方は、たくさんいらっしゃるはずです。
名古屋近辺では今もスガキヤが日常の一部として親しまれているそうですが、私たち関東民にとっては、それがすでに「過去の宝物」になってしまいました。
たった1店舗でもいい。
どこかのショッピングモールのフードコートに、スガキヤが戻ってきてくれたら——
あの頃の記憶を胸に、そっと通い詰める人が、きっと私以外にもいると思うのです。
昭和のスガキヤ、懐かしいですよね。